『人情ラーメン-夢屋』
桂三枝創作落語『人情ラーメン-夢屋』のあらすじ
父親に呼び出された息子が待ち合わせ場所の居酒屋に行くと、もうすぐ刑事を定年退職する父親が昔ばなしを始める。昔取調べをした少年のことが忘れられないという。まずいラーメンを奢ったら、まずいと言いきる心根が印象に残っているという。
それからしばらくして息子が食事をご馳走すると父親を誘う。遅い時間に遠い生駒のラーメン屋に行くという息子に、面倒だと文句を言いながらも、その店に向かう。店に着くと「臨時休業」の看板が出ているが、息子は構わず入れと言い、言うとおりに入ってみると店の人に迎えられる。何も頼まないうちから作る始める主人をいぶかしがっていると、自分も刑事である息子が、父親が話していた少年が現在どうしているかを調べてみたという。どうしていたかと聞くと、生駒でラーメン屋をやっているとのこと。そう、このラーメン屋は昔取り調べた少年の店だったのだ。
息子が種明かしをすると、主人がやってきて、当時刑事さんからもらったものが心の支えになっていたと言う。自分の弁当を少年にあげたことがある、その弁当箱を今でも神棚に置いてあるとのこと。食べる人のことを思って盛り付けしてあるのを食べながら、他人を思いやるこころを教えられたと。主人が返そうとすると、刑事の父親はずっと持っておけという。
店を出た後、そんな弁当を作るとは母親も父親を愛していたんだと感動している息子に対し、「いや、あれは俺が自分で作ったんだ」というサゲ。
桂三枝創作落語『人情ラーメン-夢屋』の感想
CDの解説によると、これは三枝さんの作った落語ではなく、「創作落語夢大賞」という催しで最優秀になった作品なのだそうです。ただ、その原作は、実際には起こりえない話(現在では取調べ中にカツ丼を奢るなどはしてはいけないそうです)になっていたので、そういった点を原作者の了解を得て修正して、今の噺になったとのこと。落語はノンフィクションなんだし、聞いている方はあまり細かいことにはこだわらないような気もするのですが、結構細かい設定にも注意して作っているんですね。
これは、創作落語の中でも人情話に入るもので、一応落とし話にはなっていますが、実は自分が作ったというサゲがあったとしても、全体としては「面白い」というよりやっぱり「いい話」です。
桂三枝創作落語『人情ラーメン-夢屋』が聴けるCD
『桂三枝大全集 創作落語125撰 第10集