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桂三枝の創作落語あらすじメモ

桂三枝の高座を実際に聞いて、面白いと思い、創作落語のCDを聴くようになりました。どの演目がどんな内容だったかという自分用のあらすじメモを兼ねて、桂三枝の創作落語を紹介していこうと思います。

CurrentIcon 『一杯のかけそば』

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桂三枝創作落語『一杯のかけそば』のあらすじ

札幌の商店街の大晦日のできごと。商店街では毎年大晦日には店の経営者が集まってお参りをすることになっていて、今年も蕎麦屋に集まっている。大阪から札幌にやってきて、嫁の実家の化粧品屋を継いでいる男は、北海道の食べ物を褒めちぎりながら、にしんそばを注文する。

にしんそばが出来て、落ち着いて食べたいから向こうの席に座っていいかと訊くと、あそこは因縁のある席だからダメだと言われる。何があったのか訊いてみると、ある年母と子供二人が店に来てかけそば一杯を注文する。三人で一杯を注文するには何か理由があるのだろうと、店の主人はこっそり一杯半のかけそばを作り、それを子供二人で食べて母子は帰っていった。その後に毎年最後にやってくる近所の男がやってきたので、主人はちょうど余った半玉の麺を出す。

それから毎年大晦日に母子がやってきて、主人が少しサービスするのが恒例となる。ある年の母子の会話を聞いてわかったのだが、この母子は父親が交通事故で多くの人を巻き込んでなくなってから、保険でまかなえない賠償金を抱えて苦労していた。この蕎麦屋は亡くなった父親が連れてきてくれた思い出の店で、毎年店の奥さんに見送られて励まされた気分になっているという。

ここ10年くらいはその母子は来ていないのだが、毎年商店街の人たちでこの店に集まって、その母子を思い出すことにしているのだとか。その話を聞いて、化粧品屋の男が感動で泣いていると、その母子が久し振りにやってくる。あれから北海道を出て、息子もそれぞれ就職し、来年からは離れて暮らすことが決まったので、最後の大晦日は思い出の蕎麦屋で過ごしに来たという。

久し振りの来店に店の奥さんが泣いていると、母子はかけそばを三杯注文する。店の主人が作り始めると、母子は店の主人に「一杯は一玉でいいですから」と言う。主人がこっそりサービスしていたのをちゃんと母子は気付いていたのである。

桂三枝創作落語『一杯のかけそば』の感想

これは、栗原平の「一杯のかけそば」に感動した三枝さんが、ご本人に了解を得て、落語化したものだそうです。本家の「一杯のかけそば」が、作者が逮捕されたりして、変な騒がれ方をした分、落語にして話を残しておきたいという思いが三枝さんの中にあるのかもしれません。もちろん、単に小説を落語にしただけではなく、大阪から来た化粧品屋の男を登場させて、笑えるところもいろいろ入れていますね。

桂三枝大全集 創作落語125撰 第25集」の解説によると、こういう季節モノの落語は大晦日周辺でしかできないのが悩みどころだとか。だからといって、季節を無視して高座にかけるのも嫌なので、各季節の創作落語を作ったのだそうです。この落語を実際に聴きたかったら、大晦日の高座に行かないとだめですね。

桂三枝創作落語『一杯のかけそば』が聴けるCD


桂三枝大全集 創作落語125撰 第25集
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