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桂三枝の創作落語あらすじメモ

桂三枝の高座を実際に聞いて、面白いと思い、創作落語のCDを聴くようになりました。どの演目がどんな内容だったかという自分用のあらすじメモを兼ねて、桂三枝の創作落語を紹介していこうと思います。

CurrentIcon 『工場の月』

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桂三枝創作落語『工場の月』のあらすじ

鉄工所が倒産することになり、お別れの会が開かれる。工場長が作った鉄のテーブルを置いて、工場を眺めながらお別れしようという趣向とのこと。このところ暇だったので、テーブルの脚を作り直していたのだという工場長に、部下は見事ですと感心する。工場長は先代の社長の写真にお別れを言い、先代は厳しかったが情が厚く、アイデアもあったが、二代目が会社をつぶしたと嘆く。

この工場もつぶされてマンションになるが、皆の再就職先は責任を持って交渉するからと、工場長は請け負う。つぶされる前に工場を背景に写真を撮ろうと言いながら、お別れの会を始めることにする。工場長は、ばらばらになっても頑張ろうと皆を励まして乾杯する。

一人の男が工場長の作ったテーブルを記念に欲しいといい、その代わりに鉄で作ったピールジョッキをプレゼントする。工場長は重くてなかなか持ち上げられないが、そのプレゼントを受け取る。また、不器用で怒られてばかりだった男が、中華なべを作ったので受け取ってくれと工場長に言い、中華なべの丸みをよく作れるようになったと工場長は感心するが、取っ手は手を抜いたので持たないでと言われる。

一人の男が、工場長は工場を辞めた後どうするのか聞くと、工場長は二代目といろいろ交渉した後、もう鉄とは手を切ろうかと思っているという。すると、男が「自分の仕事を手伝って欲しい」という。その男は、妻の実家の銭湯を継ぐことになり、番台に座る人を探しているのだ。いやらしい人だとダメだし、きりっとしている工場長にぴったりだと言うが、工場長は妻が亡くなってから15年も経っていて、急に裸をたくさん見たらおかしくなりそうだからと言って断る。

泣き出す者も出てきてしんみりしてきた会の中、工場長が悔いはないと言う。唯一つ心残りなのは、奥さんのこと。15年前に突然倒れたときに、仕事を優先して妻の元へ行かなかったら、そのまま妻は死んでしまった。小学生の娘はそれから自分と口をきかなくなり、中学校ではグレて、高校生になったら家を出てしまった。娘は妻の妹のところにはときどき連絡するが、自分とは連絡が途絶えたまま。今では結婚して子供もいると聞いているが、自分からは会いに行けない。あのとき仕事を放り出して妻のところに行けばよかった、もっと子供を作っておけばよかったと後悔しているという。

そこで一人の男が自分も工場長にプレゼントがあるという。鉄製品はもう勘弁だという工場長に、自分のプレゼントは人だという。実は工場長の娘に会って来たのだ。旦那さんもいい人だし、お孫さんは工場長にそっくりだ。娘さんも家を出てから、ときどき工場に工場長を見に来ていたけど、声はかけなかったとのこと。今日も娘さんの一家を連れてきたといって、工場長と娘さん一家を引き合わせる。

お互いの気持ちを理解した父娘。娘は父親に一緒に住もうと言うが、父親はお前達の平和な家庭を乱せないと断る。すると、従業員も一緒に住むのがいいと工場長に薦め、これまで離れていたものを急にひっつけるなんて無理だと工場長が言うと、「工場長は、離れていたものをぴたっとつける、溶接の名人です」というサゲ。

桂三枝創作落語『工場の月』の感想

桂三枝大全集 創作落語125撰 第54集」の解説によると、三枝さんが結婚するまでに住んでいた大阪港区の鉄工所が倒産し、組合の人たちが法廷闘争で何とか職場を確保して、鉄工所でレストランを始めたのだそうです。そのレストランはなかなか流行らなかったけど、いい場所なので、集会所で落語会を開いたそうで、その中で組合員と仲良くなったのを機会に、この創作落語を作ったのだとか。

この創作落語の公演に、組合員の人たちも来てくれたけど、実際にはレストラン事業をしているのに、創作落語の中では倒産してお別れ会をするのだから、組合員の人たちは複雑な顔をして聞いていたのだとか。落語としてはそのストーリーの方がいいのかもしれないけど、確かにモデルにされていた人たちにしてみれば嫌ですよね。。。三枝さんも罪な創作落語を作るものです。

桂三枝創作落語『工場の月』が聴けるCD

桂三枝大全集 創作落語125撰 第54集
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