『教育狂騒曲』
桂三枝創作落語『教育狂騒曲』のあらすじ
休みの日にお父さんが家でごろごろしていると、お母さんが文句を言う。子どもの教育のことをもっと考えてくれというお母さんに、教育なんて学校に行っていれば十分だとお父さんが言うと、お母さんはイチローや卓球の愛ちゃんを例に出して、子どもが小さい頃から親が頑張らないといけないのだと主張する。
実は、お母さんも教育は学校に行っていれば十分だと思っていたが、周りの家庭の話を聞いて、これではいけないと思ったとのこと。小川さんの家では、小学校1年生の息子を弁護士にするために、毎日裁判所まで散歩に行ったり、法廷もののドラマを見せたり、実地体験としてお父さんがお酒を飲んで暴れて留置所に入ることまでしたという。渡辺さんの家でも、小学校1年生の息子を代議士にするために、家の絨毯を赤いものに変えて、子どもは遊ぶときにもたすきをかけて外に出ているという。立花さんの家では、生後8ヶ月の子どもをお茶の家元にしようと、お母さんが子供を連れてお茶の稽古に行ったり、家でもお茶をたてていたら、最近効果が出て母乳を飲むときにお乳を3回回して飲むようになったとのこと。
では、うちの息子を将来何にしたいんだとお母さんに聞くと、医者にしたいという。そのために、人体解剖図やお父さんのレントゲン写真を部屋に貼り、お父さんが怪我をした振りをして、息子の反応を見ようということになる。そこに息子が帰ってきたので、お父さんが指を切った振りをすると、子どもは面白がったあげくに、お父さんはそうやって落ち着きがなく判断力にも乏しいから、昇進が遅いんだと言われてしまう。
その日のご飯はビフテキで、食べようとするお父さんに、お母さんは「はい、メス」と言ってナイフを渡す。そこでお父さんは、息子の前で「これから肉を手術するぞ」と言いながら、外科手術に見立ててビフテキを食べ始める。最初のうちはあきれていた息子も、面白がって真似をしはじめ、ついに「将来医者になりたい」という。それを聞いたお母さんが喜んでいると、「医者になって毎日ビフテキを手術する」というサゲ。
桂三枝創作落語『教育狂騒曲』の感想
この創作落語のサゲは、ある意味当然というか、ステーキの食事で本物の医者になりたいと思う子どもがいたら、そちらの方が発想が飛びすぎですよね(笑)。どちらかというと、子どもが登場する後半より、近所の噂をしている前半の方が面白いです。
「桂三枝大全集 創作落語125撰 第56集」の解説によると、この創作落語は、順位をつけないで揃ってゴールする徒競走など、変な平等意識を持っている現在の教育への問題提起のような思いで作った創作落語なのだそうです。私もこの点、三枝さんに大賛成。社会に出て競争することになるのに、その前にちゃんと競争しておかずに社会に出てうまくやっていけるはずがないです。そんな教育を続けていたら、日本全体が国際競争に敗れてしまいますよね。子どもの頃から正々堂々と競争して、強くてたくましい大人になりたいものです。